ふと、目を覚ました。
辺りは真っ暗だ。私が物心ついた時から、ここは真っ暗で静かな場所だ。それが正直退屈でもあり、しかし、安らぎでもあった。
メノウの殻に包まれながら、私は再び眠ろうとした。いつものことだ。私には意識はあっても眠ることしかできない。
しかし、眠りは大きな音と衝撃に破られた。
私は転がる。暗闇から周りは薄闇にへと変化していた。
何があったんだろう。長い時間起きたり眠ったりを繰り返したが、こんなことは初めてだ。
やがて、ごと、ごとと音がして、私も誰かに拾い上げられた。
この時、初めて私はこの世に重力というものがあるのだと気付いた。
他の仲間と揺れながら、やがて薄闇は強烈な日差しに包まれた。
産まれて初めて見る太陽だ。何だろう。私はどうなってしまうんだろうという気持ちが沸きあがって来た。
やがて、私は手から手へと渡り、何かの上に乗せられた。
何をするの?モーター音が聞こえる。
怖い、止めて、止めて!モーター音が近づいてくる。
やめて!やめて!やめて!
やがて、それが終わると、私は何分の以下の大きさになっていた。私の分身が何個も傍にある。
気付くと、私は丸い形になっていた。何万年も眠っていて、こんなことは初めてだ。次は何が起きるんだろう。
また、手から手へと私は渡った。ある日は紙きれと、ある日は金物と交換されて、私は何度も海を渡った。海は好きだ。とても綺麗だと思う。
やがて私は、何個かの分身と繋げられ、また、違う種類の子たちと一緒になって置かれた。皆、不安そうな顔をしている。当たり前だ。あんな怖いこと、もうされたくない。
でも、ここはちょっと面白い。色んな「人間」という生き物が通り過ぎたり、触ったりしてくる。それぞれが違う性格を持っているなんてちょっと信じられないが、ここの「オーナー」が教えてくれることにはそうらしい。
やがて、一人の人間が私を持ちあげた。紙きれと交換されて、私はまたどこかにしまわれる。
今度は何だろう。皆とも別れてしまった。また、海を渡るんだろうか。
ややあって、人間が私を取りだす。そして、嬉しそうに腕に私を付けて、眺め始めた。
人間の笑顔は好きだと私は思った。笑顔は私を辛くしない。
それから、私は人間と色んなことをして過ごした。
不思議だ。ちょっと前までは、何万年もそうしていた通りに眠っていただけなのに、こんなにくるくる状況が変わるなんて。
でも、やっぱり、私は人間の笑顔が好きだ。そう思えた。だから、私は人間が笑顔でいられるように祈った。私は、初めて他のもののために祈ることをした。
時間はあっという間に過ぎる。人間の言葉も少しは分かるようになった。
でも、ある日、ぶつっと音がして私は人間の腕から転がった。「あーあ、切れちゃった」そんな言葉を投げかけて、人間は私を拾い上げ、狭くて暗い所へ持って行った。
扉が閉まる。嘘でしょう?私はあなたともっと一緒にいたいの。ねえ、待って。私の話を聞いて。置いていかないで。
無情に扉は閉まった。私は、途方に暮れた。何万年も眠っていた頃と状況は変わらない。でも、私は知ってしまった。外には広い世界があること、人間と言う生き物が私たちと似ていること。
ねえ、嘘でしょう?もうここから出られないの?私はもう要らないの……?
言葉は闇に吸い込まれる。私はそうして途方に暮れた。
石が採掘されてからあなたの手に渡るまでを書いて見ましたよ。
バッドエンドなのは悲しいですが、私はこれをよくやっています。なので、沢山の石を悲しませていることに……。なんか私、すっごい極悪人の気がしてきました。
小説ともポエムとも言えない記事で、なんとも迷いますね。あえて言うならSS(ショートストーリー)?
一応、主人公は水晶のビーズです。加工される時って、石も怖いと思うんですがねえ。
辺りは真っ暗だ。私が物心ついた時から、ここは真っ暗で静かな場所だ。それが正直退屈でもあり、しかし、安らぎでもあった。
メノウの殻に包まれながら、私は再び眠ろうとした。いつものことだ。私には意識はあっても眠ることしかできない。
しかし、眠りは大きな音と衝撃に破られた。
私は転がる。暗闇から周りは薄闇にへと変化していた。
何があったんだろう。長い時間起きたり眠ったりを繰り返したが、こんなことは初めてだ。
やがて、ごと、ごとと音がして、私も誰かに拾い上げられた。
この時、初めて私はこの世に重力というものがあるのだと気付いた。
他の仲間と揺れながら、やがて薄闇は強烈な日差しに包まれた。
産まれて初めて見る太陽だ。何だろう。私はどうなってしまうんだろうという気持ちが沸きあがって来た。
やがて、私は手から手へと渡り、何かの上に乗せられた。
何をするの?モーター音が聞こえる。
怖い、止めて、止めて!モーター音が近づいてくる。
やめて!やめて!やめて!
やがて、それが終わると、私は何分の以下の大きさになっていた。私の分身が何個も傍にある。
気付くと、私は丸い形になっていた。何万年も眠っていて、こんなことは初めてだ。次は何が起きるんだろう。
また、手から手へと私は渡った。ある日は紙きれと、ある日は金物と交換されて、私は何度も海を渡った。海は好きだ。とても綺麗だと思う。
やがて私は、何個かの分身と繋げられ、また、違う種類の子たちと一緒になって置かれた。皆、不安そうな顔をしている。当たり前だ。あんな怖いこと、もうされたくない。
でも、ここはちょっと面白い。色んな「人間」という生き物が通り過ぎたり、触ったりしてくる。それぞれが違う性格を持っているなんてちょっと信じられないが、ここの「オーナー」が教えてくれることにはそうらしい。
やがて、一人の人間が私を持ちあげた。紙きれと交換されて、私はまたどこかにしまわれる。
今度は何だろう。皆とも別れてしまった。また、海を渡るんだろうか。
ややあって、人間が私を取りだす。そして、嬉しそうに腕に私を付けて、眺め始めた。
人間の笑顔は好きだと私は思った。笑顔は私を辛くしない。
それから、私は人間と色んなことをして過ごした。
不思議だ。ちょっと前までは、何万年もそうしていた通りに眠っていただけなのに、こんなにくるくる状況が変わるなんて。
でも、やっぱり、私は人間の笑顔が好きだ。そう思えた。だから、私は人間が笑顔でいられるように祈った。私は、初めて他のもののために祈ることをした。
時間はあっという間に過ぎる。人間の言葉も少しは分かるようになった。
でも、ある日、ぶつっと音がして私は人間の腕から転がった。「あーあ、切れちゃった」そんな言葉を投げかけて、人間は私を拾い上げ、狭くて暗い所へ持って行った。
扉が閉まる。嘘でしょう?私はあなたともっと一緒にいたいの。ねえ、待って。私の話を聞いて。置いていかないで。
無情に扉は閉まった。私は、途方に暮れた。何万年も眠っていた頃と状況は変わらない。でも、私は知ってしまった。外には広い世界があること、人間と言う生き物が私たちと似ていること。
ねえ、嘘でしょう?もうここから出られないの?私はもう要らないの……?
言葉は闇に吸い込まれる。私はそうして途方に暮れた。
石が採掘されてからあなたの手に渡るまでを書いて見ましたよ。
バッドエンドなのは悲しいですが、私はこれをよくやっています。なので、沢山の石を悲しませていることに……。なんか私、すっごい極悪人の気がしてきました。
小説ともポエムとも言えない記事で、なんとも迷いますね。あえて言うならSS(ショートストーリー)?
一応、主人公は水晶のビーズです。加工される時って、石も怖いと思うんですがねえ。
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